2009年01月15日
忘れてなんかいないよ
生きているなかで一番悲しいのは、「忘れられること」だというのは、何かのセリフだったでしょうか。
昨夜は、ひさしぶりに深く考えさせられるお話を伺いました。

オンエア後、大津のピアザ淡海で開かれた「琵琶湖塾」へ。
ジャーナリストの田原総一朗さんが塾長で、毎月1回ゲスト講師を招いて開催され今年で5年目。
私も3年前から司会進行のお手伝いをさせていただいています。
以前にも書いたけど、この塾の特徴は、田原さんがその人脈を生かして呼んでくださる講師陣の多彩さもさることながら、
話を聴くだけでなく講師と塾長と塾生とでディスカッションができるというのが魅力。
今年のテーマは「生きる」。
講師は、
辻喬さん(詩人・作家、西武グループの元総帥ですね)、
澤田 隆治さん(数多くのヒットテレビ番組を手がけ、現在は日本映像事業協同組合や「笑いと健康学会」会長さん) 、
手嶋龍一さん(外交ジャーナリスト・作家。NHKワシントン支局長としてアメリカ同時多発テロのときの放送は今も記憶に新しい)、
三枝 成彰さん(作曲家) 、前原 誠司さん(衆議院議員、元民主党代表)
といった顔ぶれです。
で、昨夜は、「国境なき医師団」日本会長だった外科医の臼井律郎さん。
アフガニスタン、スリランカ,ブルンジ,チャド、など内戦や戦争の頻発する国や地域で、人道支援として医療活動をされてこられた方です。
現地で撮った写真(なかにはかなりショッキングなショットもありました)を見せながら、お仕事の様子など経験談をはなしてくださいましたが、
驚いたのは、臼井さんにまったく気負った感じがないこと。
穏やかで淡々と事実をありのままに受け入れながら、という感じがみえました。
どこでも外科医はたいてい彼ひとり。
1日に20件もの外科手術をすることもザラで、
たとえば爆発などで複数の患者が連れてこられたときには、当然順番をつけて治療することになります。
その順番が生死を決めてしまったことはなかったかといわれると、一瞬なんともやるせない表情になられていたように思います。。
良かれと思って一生懸命医療をし改善案も提案していくと、
結果的にみれば、それがそこの政府の食料対策の遅れや施策の不備を広く暴露してしまうことになってしまい、
政府の怒りをかって追い出されてしまったこともあるとか。
現在でもその地域から外国人ジャーナリストは締め出されており、真実が報道されていないとのこと。
乏しい物資と設備のなかで、絶えずジレンマと闘いながら、それでもセンチメンタリズムに流されずプロとして出来る限りのことを尽くす、という姿勢には、ただただ感服するばかりです。
印象に残っているのは、
自分は神様でもなんでもない、だから、自分が救うとか助けるというようなおこがましく奢った気持ちは全くない。
患者は生きるべくして僕の前に連れてこられる、
僕の役目は、その患者の助かる運命を一人ひとり間違いなく、ちゃんと生きられるように手伝うことだと思っている、という言葉。
実際に大変な場面を経験してこられた方だからこそ言える、たいへんたいへん重みのある言葉でした。
パレスチナをはじめ、世界の国や地域でいまだ終わらないさまざまな紛争。
正常な状態がどういうものだったかさえ、定かに思い出せないような状態にいるかの人々のために、
いま遠い国にいる私たちに、せめてもの出来ることは何か。
それは、世界はあなたたちを忘れていないんだ、ということ。
新聞やテレビやネットのニュースを見てほしい。
そして伝えられていることだけを鵜呑みにするのではなく(ニュースとは断面的に切り取られたもの)、
少しだけ想像力を働かせて、いま何が起きているのかを知ろうとしてほしい。
冬のきーんと張り詰めた空気のなか、その言葉のもつ意味をかみしめながら家路についた夜です。
昨夜は、ひさしぶりに深く考えさせられるお話を伺いました。

オンエア後、大津のピアザ淡海で開かれた「琵琶湖塾」へ。
ジャーナリストの田原総一朗さんが塾長で、毎月1回ゲスト講師を招いて開催され今年で5年目。
私も3年前から司会進行のお手伝いをさせていただいています。
以前にも書いたけど、この塾の特徴は、田原さんがその人脈を生かして呼んでくださる講師陣の多彩さもさることながら、
話を聴くだけでなく講師と塾長と塾生とでディスカッションができるというのが魅力。
今年のテーマは「生きる」。
講師は、
辻喬さん(詩人・作家、西武グループの元総帥ですね)、
澤田 隆治さん(数多くのヒットテレビ番組を手がけ、現在は日本映像事業協同組合や「笑いと健康学会」会長さん) 、
手嶋龍一さん(外交ジャーナリスト・作家。NHKワシントン支局長としてアメリカ同時多発テロのときの放送は今も記憶に新しい)、
三枝 成彰さん(作曲家) 、前原 誠司さん(衆議院議員、元民主党代表)
といった顔ぶれです。
で、昨夜は、「国境なき医師団」日本会長だった外科医の臼井律郎さん。
アフガニスタン、スリランカ,ブルンジ,チャド、など内戦や戦争の頻発する国や地域で、人道支援として医療活動をされてこられた方です。
現地で撮った写真(なかにはかなりショッキングなショットもありました)を見せながら、お仕事の様子など経験談をはなしてくださいましたが、
驚いたのは、臼井さんにまったく気負った感じがないこと。
穏やかで淡々と事実をありのままに受け入れながら、という感じがみえました。
どこでも外科医はたいてい彼ひとり。
1日に20件もの外科手術をすることもザラで、
たとえば爆発などで複数の患者が連れてこられたときには、当然順番をつけて治療することになります。
その順番が生死を決めてしまったことはなかったかといわれると、一瞬なんともやるせない表情になられていたように思います。。
良かれと思って一生懸命医療をし改善案も提案していくと、
結果的にみれば、それがそこの政府の食料対策の遅れや施策の不備を広く暴露してしまうことになってしまい、
政府の怒りをかって追い出されてしまったこともあるとか。
現在でもその地域から外国人ジャーナリストは締め出されており、真実が報道されていないとのこと。
乏しい物資と設備のなかで、絶えずジレンマと闘いながら、それでもセンチメンタリズムに流されずプロとして出来る限りのことを尽くす、という姿勢には、ただただ感服するばかりです。
印象に残っているのは、
自分は神様でもなんでもない、だから、自分が救うとか助けるというようなおこがましく奢った気持ちは全くない。
患者は生きるべくして僕の前に連れてこられる、
僕の役目は、その患者の助かる運命を一人ひとり間違いなく、ちゃんと生きられるように手伝うことだと思っている、という言葉。
実際に大変な場面を経験してこられた方だからこそ言える、たいへんたいへん重みのある言葉でした。
パレスチナをはじめ、世界の国や地域でいまだ終わらないさまざまな紛争。
正常な状態がどういうものだったかさえ、定かに思い出せないような状態にいるかの人々のために、
いま遠い国にいる私たちに、せめてもの出来ることは何か。
それは、世界はあなたたちを忘れていないんだ、ということ。
新聞やテレビやネットのニュースを見てほしい。
そして伝えられていることだけを鵜呑みにするのではなく(ニュースとは断面的に切り取られたもの)、
少しだけ想像力を働かせて、いま何が起きているのかを知ろうとしてほしい。
冬のきーんと張り詰めた空気のなか、その言葉のもつ意味をかみしめながら家路についた夜です。
Posted by ケイミー at 22:24│Comments(4)
│オフレコ~お仕事ウラ話
この記事へのコメント
司会のお仕事お疲れ様でした
ちゃんと生きる…かぁ…
今、誰かに「忘れてなんかないよ」と言われたら泣いてしまうかも
身の回りのことで精一杯の私…世界 狭いよね
アカンですよねぇ
スミマセン 意味不明のこと書いて…m(__)m
ちゃんと生きる…かぁ…
今、誰かに「忘れてなんかないよ」と言われたら泣いてしまうかも
身の回りのことで精一杯の私…世界 狭いよね
アカンですよねぇ

スミマセン 意味不明のこと書いて…m(__)m
Posted by ぷわ at 2009年01月17日 23:08
確かに僕ら日本にいると海外の紛争も対岸の火事でワイドショー感覚みたいに捉えている面があります。
いくら医療団体とはいっても軍の野戦病院とも違う訳ですから身の危険を感じる事も少なくは無かったでしょう
戦争というのは人間の精神を異常にします、政府は人殺しを強要しすべての道徳が失われる
そんな所へは誰も行きたくないハズです
『医者は神様ではない…』という言葉も胸にズンときました。
治療の順番が人の生死を決める…
ですが治療を待つ負傷者にとっては医師は神様も同じに思えると思うのですがそのジレンマは常人には堪える事ができるのか?
非常に難しい問題です。
いくら医療団体とはいっても軍の野戦病院とも違う訳ですから身の危険を感じる事も少なくは無かったでしょう
戦争というのは人間の精神を異常にします、政府は人殺しを強要しすべての道徳が失われる
そんな所へは誰も行きたくないハズです
『医者は神様ではない…』という言葉も胸にズンときました。
治療の順番が人の生死を決める…
ですが治療を待つ負傷者にとっては医師は神様も同じに思えると思うのですがそのジレンマは常人には堪える事ができるのか?
非常に難しい問題です。
Posted by キモト at 2009年01月18日 11:32
ぷわさん
ううん、わかるよー
私も胸に手を当てて考えたら、やっぱりおんなじことを感じたもん。生きていくって、何か(あるいは誰か)に想いをはせ、やがて薄れ、また想い、その繰り返しなのかもしれないなあ。
ううん、わかるよー
私も胸に手を当てて考えたら、やっぱりおんなじことを感じたもん。生きていくって、何か(あるいは誰か)に想いをはせ、やがて薄れ、また想い、その繰り返しなのかもしれないなあ。
Posted by ケイミー at 2009年01月18日 18:20
キモトさん
ニュースのワイドショー化は加速してますもんね。でも自分で確かめられる範囲には限界がある。。大事なのはやっぱりそういった一方的な見方だけ信じるのではなく、見比べ聞き比べ、キモトさんのように自分で考えることなんでしょうね。端くれにいる者としては耳の痛いことだけど(苦笑)、改めて身の引き締まる思いがしています。
ジレンマはいつも誰でも抱えて生きてると思うな、それが神様と常人の違いかなあ(笑)
ニュースのワイドショー化は加速してますもんね。でも自分で確かめられる範囲には限界がある。。大事なのはやっぱりそういった一方的な見方だけ信じるのではなく、見比べ聞き比べ、キモトさんのように自分で考えることなんでしょうね。端くれにいる者としては耳の痛いことだけど(苦笑)、改めて身の引き締まる思いがしています。
ジレンマはいつも誰でも抱えて生きてると思うな、それが神様と常人の違いかなあ(笑)
Posted by ケイミー at 2009年01月18日 18:39