2008年06月01日
たまげた映画を観てしまった

はっきり言って、「度肝を抜かれた」映画。
いや、「脳天に頭突きを食らわせられた」、と言ったほうが正しいか。
『ジャーマン+雨』
監督・脚本: 横浜聡子
出演: 野嵜好美、藤岡凉音、ペーター・ハイマン、ひさうちみちお
2006年/日本/71分
かねがね、好きな映画は「泣ける映画」だと思い、また公言もしてきました。
でも密かなもうひとつの基準は、
「この監督やこの俳優の、次の作品を観たいと思うか思わないか」ということでした。
で。
いま私の頭んなかは、主人公・林よし子のことで一杯!
近年、これほど強烈な印象を与えてくれた日本映画の女主人公って、ちょっと思い当たらない。
(以下はネタばれしない程度にあらすじ)
主人公・よし子は16才。
小さな頃両親が離婚したがどちらにも引取られることなく、祖母に引取られたが、その祖母も他界。
学校へは行かず、職を転々としながら暮らしています。
・・・とこう書くと、幸薄い美少女とか、孤独な少女の内面を見つめる映画なのかな、と思うのが常かもしれません。
ところがどっこい、この映画は、そんな甘っちょろい予測を、180度裏切ってくれちゃうのです。
しかもその裏切り方といったら、もう、ただただ「お見事!」のひとこと!
よし子についたあだ名は、その風貌から「ゴリラーマン」。
いや人間は顔じゃない、心だよと思いきや、性格は超強引でわがままで乱暴。
誰がどう見ても、お世辞にもかわいいという感じはなし。
唯一親しく接してくれる幼なじみの女子高生まきちゃん(めちゃ可愛い子!)にも
「うっせー!わかったような口聞くなよ!帰れ、このイモ!」と切れちゃうし、
なぜか慕ってくる近所のがきんちょ達からはお金をとるし、
四つ葉のクローバーを探している子に、かける言葉はひとこと、「だせえ」。
いやもう、けたはずれに自己中心的!
だけど、だけど。
・・・よし子は強い!
悩んだふりをしたり心の傷みや傷を思わせぶりに訴えることをしない。
目の前にある現実、その混沌とした状況に、憂えず卑屈にならず、
個人のトラウマなんて、くそくらえ!とばかり、強靭に進んでいくんです。
それが思い切り不恰好に。
で、ふつうならその後に続くのは、逆境の主人公が耐えて明るい未来への道が開けていく、
なんてストーリーなんだけど、
監督・横浜聡子は、そんな常套手段を使うつもりは、これっぽっちもないらしい。
それが、ほんと、いや意外なくらいほんとに、スカッとするんだなぁ!
たぶん、私の中に、いや誰の心の中にもひそんでいるであろう、
欺満に満ちたもうひとりの自分が、
「よくぞ言った!」「そうなんだ、ほんとはそうしたかったんだ!」って
拍手喝さいしているのかもしれません。
そして今日はなんと、横浜聡子監督と主演した野嵜好美さんの舞台挨拶もありました。
映画の冒頭に見慣れた山・・・そう、野洲の三上山!
じつはこの映画、ほとんどを滋賀県内でロケされているのです。
監督のイメージ通りの場所が滋賀にあったそうで、
映画で重要な位置を占めるよし子の家も、その行動範囲にも、
近江八幡、草津、大津市小野、野洲川などが登場します。
見慣れた風景がスクリーンに映し出されるのは、なんともくすぐったい感じではあるけど、
でもやはり親しみを増してくれるものです^ ^
終わってから、この映画のプロデューサー城内さんとお話する機会があり、
この映画を滋賀で撮ったもうひとつの理由を話してくださいました。
それは、「光」。
映画に欠かせない、その出来を大きく左右するともいえる「光」が、
滋賀は素晴らしかったそうです。
たぶんそれは、真ん中にデンとある「琵琶湖」のせいじゃないか、とおっしゃっていました。
キャッチコピーは「内向しない日本映画、ついに誕生!」
映画好きな方はもちろん、
ポ○ノとアニメ以外の日本映画は見たことがないという方、
お涙頂戴の日本映画は好きじゃないという方、
はたまた、
現状に行き詰まりを感じているあなた、
女はかわいいだけじゃないんじゃないか、と薄々感じはじめているあなた。
そんな人に見てほしい映画です!
そして、この映画で2007年度日本映画監督協会新人監督賞を受賞した
ハンサム・ウーマン横浜聡子監督と、
ものすごい存在感の役者・野嵜好美さんの次回作にも注目したいなと思います♪
『ジャーマン+雨』
滋賀会館にて、6/8迄上映中(月曜休)
普通の感覚とか、いわゆる常識とか、日常とか、そんなんじゃとっても語れない、
破壊、痛快、豪快、爽快!
Posted by ケイミー at 23:28│Comments(5)
│観る聴く読むグラフィティ
この記事へのコメント
へえ〜 なんか面白そう! 最近の日本映画は結末が○○○やから・・・
そんなんが見たかった!
そんなんが見たかった!
Posted by ハリ・ポタの岸ヤン at 2008年06月02日 00:08
映画で気持ち良く裏切られると痛快ですよね。痛いけど心地良いってかんじかな。
Posted by 大盛ヤキメシ at 2008年06月02日 00:42
岸ヤン
結末の想像できるストーリーなんて、テレビだけで十分ですからね(笑)
大盛ヤキメシさん
いい表現ですね、痛いけど心地よい、まさにその通りでした!…って、わたしはMじゃないけど(;^_^
結末の想像できるストーリーなんて、テレビだけで十分ですからね(笑)
大盛ヤキメシさん
いい表現ですね、痛いけど心地よい、まさにその通りでした!…って、わたしはMじゃないけど(;^_^
Posted by ケイミー at 2008年06月02日 08:10
なんか日に日に気になってきた…この映画。
土曜日の行ってこよっと。
ダンナを誘ったけどふられちゃいました。いいや、一人でも…。
方向オンチでも駅から迷いませんか?
土曜日の行ってこよっと。
ダンナを誘ったけどふられちゃいました。いいや、一人でも…。
方向オンチでも駅から迷いませんか?
Posted by それいけ!あん・ぽん・たん at 2008年06月04日 23:07
それいけ!あん・ぽん・たんさん
是非ぜひ!いま上映中の他作品もかなりのラインナップで、私もなんとか期間中に他のも見に行けたらと狙っています(笑)
滋賀会館シネマホールは、JR大津駅から歩いて5分くらい、滋賀県庁正門の斜め前ですので大丈夫よん^ ^ 上映予定やアクセスは下記をどうぞ(PCからでないと見づらいかもしれませんが) http://www.rcsmovie.co.jp/shiga/#map
会員になると年会費2000円で2本分の無料鑑賞券がもらえるので、これもオトク^ ^
是非ぜひ!いま上映中の他作品もかなりのラインナップで、私もなんとか期間中に他のも見に行けたらと狙っています(笑)
滋賀会館シネマホールは、JR大津駅から歩いて5分くらい、滋賀県庁正門の斜め前ですので大丈夫よん^ ^ 上映予定やアクセスは下記をどうぞ(PCからでないと見づらいかもしれませんが) http://www.rcsmovie.co.jp/shiga/#map
会員になると年会費2000円で2本分の無料鑑賞券がもらえるので、これもオトク^ ^
Posted by ケイミー at 2008年06月05日 10:00
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。